千年写真って何? 圧倒的長寿命 世界で唯一、写真彫刻 製作工程

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ダゲレオタイプ

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ダゲレオタイプは、世界最初の写真技法とされるヘリオグラフィの次に発明された、もっとも初期の実用的写真技法、およびその技法によって得られた写真印画です。

日本ではダゲレオタイプは銀板写真とも呼ばれていますが、一般的には銅などに銀メッキされた板が使われており、銀の板を使うことはまずないようです。

ダゲレオタイプも千年写真も、金属板上にモノクロ画像が形成されていて、金属光沢があるという点では同じです。

ところが、見え方はまったく異なります。ダゲレオタイプには鏡のような映り込みがあります。そのため、鏡と同様に、正面から見ると自分の顔が映ります。ダゲレオタイプを正しく見るためには、顔の映り込みが目立たないように自分の顔に当たる光をさえぎるか、暗い背景や黒いものが映りこんで見える角度から見る必要があります。自分の顔が映っていたり、他の明るいものが映っているとはっきり見えず、特に光源が映って見える位置からは、黒と白が逆に(ネガ像として)見えます。

一方、千年写真は見る位置を選びません。斜めからでもはっきり見えますし、また見る位置によって輝きの具合が変化し、豊かな表情を示します。

ダゲレオタイプは表面の反射の度合の差によって明暗を再現します。階調はなめらかで、細かいところまでよく写り、その点では、印画紙にプリントされた一般のモノクロ写真とさほど変わりません。むしろ紙の写真よりも精巧に見えます。

以下はやや専門的な説明です。ダゲレオタイプは画面各部の明暗を、一般的な紙焼きのモノクロ写真のように濃度の高低に置き換えるのではなく、微細な凹凸の量に変換しています。メタルプリントがさらに精細になっているようなものです。この凹凸によって各部の反射の度合を変化させ、擬似的に対象の明暗を再現しています。

お手元の微粒面加工を施した銀色の金属製品をご覧になってみてください。梨地のステンレス鋼やアルミ合金製のノートパソコン、携帯端末、化粧品入れ、筆記用具、食器、なんでも結構です。表面には微細な凹凸があります。この凹凸が光を乱反射することにより、どんな角度から見ても、さらに光がどんな角度から当たっても、明るく白っぽく見えます。ダゲレオタイプの白い部分はこれに近い状態です。

一方、ぴかぴかに磨き上げてクロムめっきなどが施された鏡面加工の金属面を見てみますと、その名のとおり鏡のような光沢があります。鏡面の場合、暗いものが映っていれば黒っぽく見えますが、目に光の反射が入ってくる角度から光が当たっていると明るいというように、角度によって見え方が変化します。ダゲレオタイプの黒い部分はこれに相当します。

ダゲレオタイプはモノクロ写真ですが、金属表面自体の色が黒やグレーに変化している部分はまったくありません。上記のように、表面の光沢の差のために、特定の角度から見ることにより明暗があるように見えているだけなのです。

そのためダゲレオタイプでは見え方が一定しません、しかも、最良の角度で見ても、コントラストが低くぼんやりとしています。これは、明暗を濃度ではなく反射の度合によって表示するという技術的原理に起因する弱点です。このように、ダゲレオタイプは明暗の再現という点では根本的な限界を有する印画法といえます。そんな理由もあって、写真技術の歴史において継承発展されることなく忘れられていったのでしょう。

千年写真の表面は一般の写真のようになめらかではなく、デコボコした彫刻です。そのデコボコは無数の細い溝で、あまり細かい部分は再現できませんが、この溝によって、一般の写真にはないきらめきが生まれます。表面の光沢と凹凸が光の反射を生じさせているという点では、千年写真はダゲレオタイプやメタルプリントと共通しています。しかし、千年写真はダゲレオタイプと異なり、こうした凹凸の光沢から生じる反射の度合の差に、明暗の再現を頼る必要はありません。光沢とは別に、濃度すなわちステンレス鋼表面の黒色加工によって明暗を表しているからです。これにより、どの角度から見てもメリハリのあるはっきりした画像再現と、強い光をあてた時の輝きとを両立させているのです。

またダゲレオタイプは、約170年前にほとんど完成され、現在でも当時と基本的には同じ、枯れた技術です(近年考案された簡易的な方法もあるものの仕上がりが劣るようです)。近年は古典印画法のブームにより、各地で製作されているようです。

千年写真は弊社が独自に開発し特許を取得した技術であり、まったく新規の方式です。古典印画法ではありません。むしろ彫刻に近い技法です。

ダゲレオタイプは複製できませんが、千年写真はある程度同等のエディションを複数つくることができます。

ダゲレオタイプは写された対象と左右逆になりますが(左右逆像)、千年写真では左右も正しく写ります(天地左右正像)。

そして、ダゲレオタイプは非常にデリケートなため、手で触れたり外気に当たると劣化します。千年写真はきわめて頑丈ですので、通常の室内ならば保存に気を使う必要はありません。

ダゲレオタイプには宝物のような質感があり、画質や耐久性がどうこうというより、それ自体にオブジェとしての価値があると言えます。千年写真は耐久性と量感再現に特徴があり、実際にご覧になれば、両者のちがいをひとめで納得いただけることでしょう。

1844年にダゲレオタイプによって撮影されたダゲール像

ジャン・バプティスト・サバティエ=ブロット「ルイ・ジャック・マンデ・ダゲール」、ジョージ・イーストマンハウス・コレクションより