金属板に写真をプリントする加工サービスがあります。そうした商品では画像が金属の表面に付着しているだけです。千年写真では金属板そのものを彫刻しています。
写真を紙以外の支持体に付着させる処理は昔から行われてきました。
ポラロイドフィルム等インスタントフィルムの乳剤を転写する方法や、モノクロならばアートエマルジョンのように多様な支持体に塗布できる写真乳剤と下塗り剤の組み合わせが有名です。版画や印刷を使う手法としては、スクリーンプリント(シルクスクリーン印刷)や凹版印刷があり、基本は1色(モノトーン)ですが多色刷りによりカラーにもなります。
近年ではインクジェットプリンタや熱転写プリンタが紙以外のさまざまな媒体に出力できるようになっていて、金属やプラスチック素材にプリントするサービスもあり、紙よりは耐候性が高いようです。 鮮やかな色が使えて効果が高いので、耐久性をさほど必要としない用途には適しているでしょう。 ただ、金属やプラスチックに色素を付着させた画像は、表面にただへばりついているだけですので、こすればはがれます。画像の堅牢性も耐久性も千年写真にはとうてい及びません。
また、こうした金属表面に階調情報を塗布するタイプの加工に共通する特徴として、角度によって見えづらくなるという欠点があります。金属製案内板や金属板へのプリントでは、写真の明るい部分で光沢のある金属の地肌がほぼむき出しになるため、光が反射する方向により像が沈んでしまって見づらくなるのです。また周囲が暗い場合ほとんど見えなくなります。
千年写真ではそれとはまったく異なり、光があたる角度と見る角度の変化によって輝く箇所が変化します。角度により見えづらくなるのではなく、どの角度でもはっきり見える上に、多様な表情を見せるのです。千年写真を一度手に取っていただき、左右に傾けてみていただけば、刻々と移り変わる光の反射の様子をおわかりいただけると思います。もちろん、暗い場所でも鮮明に見えます。